夢であれ

学校で人気者の榊原くん

私は教室の隅でいて、影と変わらない

榊原くんは理数系で

私は文系

榊原くんは運動神経が良くて

私は本当に運動神経が悪い

出せば出すほど正反対

実際憧れてたし、あんな人が彼氏だったら

って考えたことだってある

「俺は不器用で、どんくさい速水を好きになった」

『…………でも…榊原くん…私…死んじゃってる……生きている人とは違うよ』

「それでもいいんだ。そばにいてくれれば」

真剣で真っ直ぐな榊原くんに…押されてしまうのが嫌だった

自分はいつかこの世界から消える

私は成仏するだろう

殺された記憶が戻れば、迎えに来る

『………ダメだよ…私いつかは逝かなきゃならない。榊原くんをおいて逝かなきゃならないんだよ?!』

「………………それは…」

『そうなったとき…傷つくのは!?!?…私じゃなく…榊原くんでしょ?!?』

一人にして逝かなきゃならないんだよ…

榊原くんをおいて…

『私………榊原くんを好きになったら…逝けないよ………!!!!!』

「速水っっ!!!!!!」

ースカ

榊原くんの手が空をきる

『…ほらね…傷つくのは…榊原くんなんだよ』