天国の涙


安藤さんが運んでくれた夕食を一口食べると、いつもより美味しく感じた。

きっと、一輝君が私に元気を分けてくれたからかもしれない。


彼の笑顔を思い出すと更に元気が沸いた。

いつも諦めぎみで、外を見るたびにため息をついてたけどそんなことはもうやめようって。

いつか声が出せる。

治すのに、凄くお金がかかるけどお父さんが沢山働いて用意してくれる。

そんな、希望が持てた。



声が出せれたら、何を言おうかな。

まず治してくれたお医者さん達に「ありがとう」って伝えよう。

あと、お金を出してくれたお父さんにも「ありがとう」って伝えなきゃ。


それから__にいる___にも‥‥‥。

短い間だっけど沢山お世話になったしね。


そうだ!安藤さんにも沢山お世話になったなぁ‥。


忘れちゃいけないのが、一輝君。

私に元気と希望をくれたから。

だから今、こうやって声が出せるって希望が持てた。

ありがとう‥‥。



‥‥いけない!ご飯食べなきゃ!!


二口目を食べたけどやはり美味しいままだ。


いつもは残すご飯を今日は全部食べれた。

食べ終わった食器は廊下で回収してくれるおばさんに渡す。

中身が空っぽの食器を渡すと、おばさんは一瞬驚いてたけど笑顔で、「全部食べたの!偉いわねぇ!良いことでもあったの?」と聞いた。

私は笑顔で頷いた。
『おばさん、作ってくれてる人、いつも残していてごめんなさい。
明日から完食します。いつもありがとうございます』という気持ちを込めて。

あ、声が出たらおばさんやご飯を作ってくれてる人にも「ありがとう」って言わなきゃ。


沢山の人にお世話になってるんだなぁと改めて感じた。