「反応とか、がよ!声に出さなくても気持ちが伝わってくる!そこが面白い!‥いや、スゴい!!」
声に出さなくても私の気持ちが分かる一輝君の方が凄いと思った。
これはお礼を言うべきなのかな‥‥?
紙に「ありがとう。でも、私の気持ちが分かる一輝君も凄いよ。」と書いて、見せた。
「え!?俺が凄い!?あんまり褒めすぎると俺、調子乗るからな~!」
そう言って、笑った。
一見、元気な男の子なんだけどなぁ‥‥なんでこの病院にいるんだろう?
点滴もしてない、パジャマでもない、例え誰かのお見舞いだとしても、小児科には入院している子供の親しか入れないという決まりがこの病院にはある。
聞くのも失礼だしなぁ‥‥、考えるのはやめておこう。
「舞ちゃん、夕御飯よ~。あら、一輝君、もう戻りな。あちらの方でも皆待ってるわよ」
安藤さんがそう言った。
『あちらの方』‥‥? 『皆』‥‥?
考えるのはやめておこう、と決意したのに謎に包まれた単語を聞くとまた考え出してしまう。
「やべっ!じゃ、俺、帰る!
じゃーな、舞!また来るぜ!」
ニカッとして帰っていった。私は彼に手を振った。
私の隣で安藤さんはあの時の検査の帰りの時みたいに面白そうな顔で微笑んでいた。
‥‥あ、そうだ。安藤さんなら、一輝君の事色々と知ってるかもしれない!
行こうとする安藤さんの服を少し引っ張って、呼び止めた。
「何かしら?」
『カズキ君はなんで病院に来るんですか?』
この1文が、書けなかった。
聞いてはいけない気がして。
それに、本人の承認もなしに、彼を探るなんて卑怯だと思ったから。
なので、『やっぱ何でもないです』と書いた。
「そう?何かあったら言うのよ」
そう言って、安藤さん行ってしまった。
