シュワシュワと小さな泡をたてて、バーカウンターの上の照明で光って輝く。
・・・・・・うーん、素敵。
これよこれよ!!これを待ってたのよ~!!私は心の中でそう叫びまくって、目立たないようにカウンターの下で足もバタバタさせて、ようやくそのジン・トニックを口へと含ませた。
思わず零れ出る満足の吐息。目を閉じて、うっとりと舌への刺激を味わっていた。
うーきゃー!
「・・・うーん、最高」
「ありがとうございます」
目を開けると、マスターがニコニコと笑っていた。
私も笑う。すごく満足していた。好きな店で、この最初の一口が。私の好きなゴードンのジンで作られるジン・トニック。ここの店のこれが一番。
マスター、適当に何かつまむものちょうだい。私はそう頼む。その間にきっと、私は2杯目のジン・トニックを飲むだろう。そのくらいで丁度いいのだ。酔いのレベルとしては。
イベントを終了させたばかりで、今日は3時間だけの仕事だった。
だから私は自分に約束した高級エステにもいったし、化粧品カウンターで新商品の試しもした。それからゆっくりシャワーを浴びて全身を磨き上げ、香水を少しだけぬりこむ。
しっとりした肌にのせていくのは上質なパウダー。
ハニーベージュのストッキング。値段もヒールも高いバレンシアガのヒールサンダル。ピアスは小振りでネックレスは3重のゴールド。それからブラックの膝丈スカート。肩までのストレートボブは一本の乱れもなく、バーの照明の下では黒々と光っているはず。3度重ねたマスカラと頬紅。今晩の唇はヌードな色で艶やかに仕上げた。



