田島君が心底嫌そうに横槍をいれた。
「うわ、それ最低だな。梅沢さんの彼氏さんが断ってくれて良かったよ」
彼の隣で牛田辺さんが頷いている。彼女は心なしか田中さんから椅子の距離を取ったようだった。
「それに申し訳ないが、田中、先輩には可愛がられてなかったぞ」
むしろ皆遠巻きにしてた、亀山が平然と付け足す。ヤツはすでに驚きから回復したらしく、運ばれてきていたジャーマンポテトをガツガツと食べ始めた。
「相手みて演技しろよ。するならな。それに前にも言っただろう、どれだけ梅沢の外見を真似たところで、お前は梅沢の変わりにはならないんだっつーの」
おお、そんなこと言ってたのか、亀山!私は隣の同期をガン見した。
「そうだよ、職種も経験も全然違うじゃないか」
田島君と亀山の意見に、ふん、と鼻をならして、田中さんが仏頂面をした。意地悪そうな顔だった。
「そんなことないわよ、とって代われるはずだったの。でもこの人逃げるからさ~。まさかあんなに避けられるとは思ってなくて」
超タメ口だった。表情まで気だるく変わってしまっている。今にもタバコ片手に串カツとか食べそうだった。
・・・いやいやいや。
私は遅まきながら覚醒した。仕事が終わったら、この子に対処しようと思っていた。だけどどうやら相手が先に行動に出ることにしたらしい。



