・・・・・・・・・へ?
田中さん以外の全員は、呆気に取られていた。私は鞄からタバコを出しつつあるままの格好で。田島君はジョッキを口元で止めたままで。牛田辺さんはフォークを持っていて、亀山はだらけた格好で椅子にもたれかかったままだった。
一瞬、亀山と視線が合った。・・・何、今この子、何て言った?知らねー、何なんだ?視線でそう会話して、田中さんに目を戻す。
するとそこにはピンストライプのぴっちりしたジャケットを脱いで、首をならす彼女がいた。
「うまくいかなかったな~。何でですかねえ?ねえ梅沢さん、あたし、何がまずかった~?」
マスカラを上下からつけた睫毛をばさばさいわせ、彼女は上目遣いで私を見た。
・・・あら?性格が変わってるわよ、田中さん。私はまだ呆然としたままで、ようやくタバコを取り出す。
「・・・ええと・・・どうしたの、田中さん?キャラが変わってるわよ」
さっきまでの可愛こぶりっ子はどこへ消えた?ピッタリ閉じていた彼女の股は開かれて、ふわふわの髪の毛に片手を突っ込んでばさばさと振っている。
彼女はにんまりと笑うと、ジョッキの中のビールを勢いよく飲み干した。まるでオッサンの飲み方だった。
「組織に入ったら、先輩に可愛がられるのは基本でしょー?あたしよくやったと思うんですけど~、なんで梅沢さんに避けられたのかなーって。折角もうちょっとで立場も代われたかもなのにい~。避けられたお陰で彼氏にも接近できないし、亀山さん達には小言くらっちゃうしー、あーあ、つまんなーい」



