・・・もしかして、観察は終わり?もうオールコピーしちゃったってことなのかしら?だったらもう平和な日々が戻ってくるの?私が外見のイメージを変えたので、今では二人とも違った個性になっているし、もしそうならつつくのは面倒くさいし、もうそれでいいって思えるんだけど―――――――
私は仕事が終わった解放感も一気飲みしたビールの影響もあって、かなり陽気に田中さんに話しかけた。
「へーい、ヒナちゃん、飲んでる~?ちゃんと食べなきゃダメよ、まだ成長期なんじゃないの?」
隣から、亀山が突っ込んだ。
「いやさすがに成長期は終わってるだろ」
「喧しいわね亀。例えよたーとーえ。彼女はあんたよりかなり若いんだから」
田中さんは変な顔をした。笑ってるような笑ってないような、微妙な表情。ただじいっと私を見詰めてくる。既に酔い始めていた私は、その前からの異常なテンションによってそれすらも平気だった。
「何何、何か私の顔についてる~?ってかタバコ、いい?」
ひょうきんにそう言ってバッグを漁っていたら、前からドン!と音がした。
ビックリして顔をあげる。
テーブルの上は一瞬静かになり、亀山も、田島君も、牛田辺さんも驚いた顔で見ていた。
チームの新人を。
音は、田中さんがジョッキをテーブルに置いた音だった。彼女はいびつな笑顔を見せると、いきなり首をぐるんと回して言ったのだ。
蓮っ葉な言い方で。
「あぁーあ、もうやめよっかな。疲れちゃった、これ以上やってても何も期待出来そうにないしい~」
って。



