run and hide2~春の嵐~



 こんな言い方を田島君はしたことはないはず。私はちょっと驚いて後輩を見詰める。あら、田島君たらどうしたのかしら――――――。

 その時、通りすがりに亀山がぼそっと呟いたのが聞こえた。

「片付けてこい。こっちはやるから」

 って。

「・・・あ、はあーい」

 田中さんは悔しそうな顔をして、しぶしぶ私から離れる。いつの間にか私と同じようにボブになっていた彼女は、最後まで名残惜しそうに私を振り返っていた。

 ・・・・助けてくれたんだ、皆。

 私は力が抜けたあまり、ずるずると廊下に座り込みそうになってしまった。もしかしたら、亀山が田島君と牛田辺さんに何か話したのかも。有り得る、あの二人の表情は、ちょっといつもと違っていた。

 ・・・・ああ、有難いっす。

 タバコもアルコールもない中で、こんなにしんどい3者面談はご免だって思っていた。そうしたら、頼りになるメンバーが田中さんを連れ去ってくれた。嬉しい。助かる。最高~・・・。

 私は足に力をいれて、踏ん張った。

 なら、正輝は私がちゃんと対応しないと。

 アルコールもタバコもないけど。

 私は私を支えることが出来るはず―――――――――――