一日の営業で疲れたからではなかった。勿論、タバコの煙で泣いているわけでもない。実に簡単なことだけど、自分の好きなものが手に入らないってことにイライラしているのだった。
アイ・ニード・ジン・トニック!!!
ここで絶叫してみたら、神様がかなえて下さるかしら・・・。
一瞬真剣にそう考えて、あまりのくだらなさに自分で笑ってしまった。天からいきなりアルコールが降ってきたら、それはもうホラー以外の何者でもない。ちょっと落ち着きなさい、翔子!もう!
問題はシンプルなのだった。
原因は一つだけ。
それは、うちのチームに見事溶け込んだ(・・・とは言えないかもしれないが)、あの新人の田中さんだった。
だけどそのシンプルで単体の「問題」が引き起こす色んなことが、複雑に絡まって巨大化し、私に襲い掛かっているのだった。
アーメン。もう、どこの世界の神様でもいい、私を助けてください。今すーぐーにー!!!
田中さんは、着実に仕事を覚えていった。牛田辺さんに代わって一人でも全作業を出来るようになるのは、本当に早かった。それは素晴らしいことで、チームの一員としては何の不満も抱いていない。
だけど。
だけど。
彼女は、そのほかのことが問題なのだ!
まずは私のストーカー化している、といえる状態になっている。



