「うーん…」

コーンには立入禁止の文字書かれていて、このまま進もうか、止まろうかすごく悩む。
萌がいないんだったら戻ろうかな…。
そうして突っ立ってると、

「りほ…いるんでしょー?」

いつもより小さい萌の声がコーンの向こう側の屋上の扉の向こう側からした。

「うん。いるよー。入っていいの?」

「知らない…。入りたかったから入るの」


少し元気のない声が聴こえる。

「へー」

「人生最後のわがままにするんだ」

「あー。高校生になったもんね」

大人になってきてるんだよね。
もう、子供のままじゃない。
自分の責任は自分で取らなくちゃならなくなってくる。

「…うん。ありがとう」

声にいつもの張りが戻ってる。
萌らしい元気な声。

なんでお礼なのかな?

「よくわかんないけど、どいたまー」

まあ、元気になったからいっか。
こっちも釣られて少し声が大きくなった。