『2番線。急行○○行の電車が止まります。危ないので黄色い線の内側に下がってお待ちください』

おなじみのアナウンスが流れる。

それでも、私達は話すのをやめない。
だけど、一歩だけ後ろに下がった。

ビュオッ

目の前を電車が通り、風が吹く。
セットした髪が少し崩れ、独特の匂いがした。
そういえば、クラスのイツメンの雪がこの匂い好きなんだっけ…なんて思い出しながら、いつも通り電車の中に萌が乗った。

「じゃあ、学校が終わったら中学の屋上で」

なんて言ってホームから萌を見送る。
私の学校は、準急しか止まらない駅の近くにあるから。

今日はお世話になった中学の顧問と、同じ部活の仲間とで、お別れ会をするんだ。
かなり時期が遅いのは、みんなの予定が合わなかったかららしい。

そして、お別れ会の前に、気分が乗らない日に楽器を吹いてた屋上に行ってみよう…て萌が行ったからそこに集合することにしたの。

プシューって音と共に私と萌の間に扉が表れる。

そして、電車は萌を乗せて、目的地へと走りだした。