あんなものを見せられては、信用するしかなった。最初は新手の悪徳商売なのかと思ったが。

しかし、理由はそれだけでもなく。

彼女は端正な顔立ちをしていたのだ。可愛いく、色っぽく。誰が見ても僻みがなければ、美少女といえるレベルだ。

自分以外には見えないというのならば、仕事場にはついてきても良いというと、彼女はとても嬉しそうにし、尻尾がついていれば激しく振っているだろう。

有のバイトするは小さい喫茶店だ。夜になれは、バーに変化する。

オーナーは関西からきた、若い男性でとても優しい人だ。
こんな自分を拾ってくれた、恩人だ。

店のドアを開けると、ベルがちりんちりんと鳴く。オーナーはそれに気付くと、「有ちゃん。」

「こんな朝早くすまんなぁ。」

「いや、平気っすよ。」

早速、更衣室に向かうと、今までおとなしかった幽霊が小声で喋りだす。

「有さん、有さん、あの人は何方です?」

「ああ?この店のオーナーだよ。」

「有さん、喫茶店でお仕事をしていらっしゃるんですか?かっこいいです。」

かっこいいという言葉にどぎまぎしながら、更衣室のドアを開ける。「あぇ!?更衣室!?失礼します、店内で待ってますよー!」

うるせえ。有は少しだけ赤面しながら、いつもの仕事服をとりだし、テキパキと着替えた。