学校につくと、あいつが席にだらしなく座っていた。



さらりとした肩までに切りそろえられた黒髪。健康的に焦げた腕がセーラー服の袖から出ている。



俺の幼なじみの美雪だ。



朝練があったんだろうな、汗がにじみ出ていて暑そうにパタパタと下敷きで顔に仰いでいた。



俺の席は美雪の前だ。



「おはよ」



「…はよ」



いつも美雪が挨拶を先にしてくるから、俺は素っ気なく返す。



別に嫌いなわけじゃない。



けど美雪と話そうとすると意地悪をしてしまう。癖みたいなものだ。