学校祭を翌日に控え、劇の準備が終わったうちのクラスは早くも打ち上げモードでお祭り騒ぎ。
まだ劇の発表が成功したわけでも、学校祭終わったわけでもないのにおめでたい連中である。
白雪姫役の阿部くんと王子役の荒木くんは明日の衣装を着ているんだから、もしジュースぶちまけたら殺す。
心の中で密かに思いつつ、教室の隅っこで早川から受け取ったジュースを一気に飲み干した。
ほんとはコーラがよかったのだけれど、まあクラス会費ではなく担任の奢りだし、文句は言わない。だって私謙虚世界代表の大和撫子ですし。
「おつかれ、藤島」
ぼーっと教室の様子を眺めていれば、わざわざ椅子を持ってきて私の隣に置いた早川がそこに座った。
げ、何で来るんだよ。教室の真ん中で裸踊りでもしてろよ。そんで白けまくってトラウマになればいいのに。
「ん、ジュースもうねえの? 持ってこようか?」
「別にいいよ。でももし遠い異国まで行って買ってきてくれるって言うなら持ってきて。私は帰ってるけど」
「……それ単に俺にどっか行って欲しいだけじゃね?」
「ピンポーン」
「お前は……」
随分察しがいいじゃないの。
空の紙コップを潰して、不満げに唇を尖らせる早川に持たせた。

