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静か! 平和! 素晴らしい! ビバ川端さんのいない世界!
――と、思いつつ。
本当は、一晩寝れば彼女はバカだから、けろっとした顔してまた私にべったり引っ付いてくるんだろうなーやだなーと考えてたのに。
いざ次の日学校に行けば、廊下ですれ違ったりしても顔はそらされるし、話しかけてもこないし、机に奇妙なプレゼントを置かれることもなければ、
カメラのフラッシュに怯える必要もなく、穏やかな気持ちのまま一日が終わった。
うるさい日常に慣れてしまったためか、ちょっと違和感はある。
物足りないわけじゃない、寂しいわけでもない。
違和感があるだけだ。
「――みんな、お疲れー!」
早川の掛け声をきっかけに、クラスメイト全員が沸いて、担任からの差し入れのオレンジジュースが入った紙コップを高く掲げた。
――そして、そんな違和感もあれから1週間とちょっとも経てば消えてなくなったという、私の切り替えの早さは自分でもすごいと思う。

