「……あーちんにとって、きらりってなんなのかな」
「……は？」
不意に口を開いた川端さんは、まつ毛を伏せて、私の目を見ないまま呟くように問う。
え、何その質問。
仕事と私、どっちが大事なのって質問並みにウザい。そんなの答えなんか、決まり切っているのに。
わざわざどうして、そんな面倒くさいこと私に聞く？ 私たち2人の関係なんか、自分でだってよく知っているはずでしょうが。
「……他人だよ、それ以外に何があるの」
まさか夫婦だとか言い始めたりしないよね？ まさかまさか。
なんてちょっと本気でビビっていたのに、予想外にも顔を上げた彼女は珍しく露骨に傷ついた顔をしていた。
いつもみたいに酷い、とか、もう、とか言ってピーピーうるさく騒ぐかと思ってたのに急に黙るから、ちょっと狼狽える。
何その顔。……私を悪者にしないでよ。
「……本当に、きらりのこと友達とも思ってないの？ 一回も？ ちょっとも思ったことない？ 一緒にいて楽しいなとか！」
「ウザいなって思ったことしかない。川端さんいっつもうるさいし」
あ。つい。全部正直に言ってしまった。
