少なくとも私はしない。せいぜい唾を吐くくらいならしてやれるけど。
早川も面倒くさい嘘つくなよね。おかげで連日ボス猿と話す破目になって最悪の気分だ。もう家帰りたい。
「だ、だとしたらなんで泉はあんたなんか……」
「私に聞かれても知るわけがない。早川ってスーパーポジティブマンだから私のこと善人か天使だとでも思ってんじゃん? 事実だけど」
「どこが事実よ!? どう見ても悪人か悪魔だろうが!」
まあ失礼しちゃう。
一生懸命私を傷つようとしてるみたいだけど、あんたなんかに悪く思われようがどうもなんないっつーの。
なんて思っていれば、隣にいた川端さんが不安そうに私の手を握ってきた。
キメエ。レズビアンな趣味はねえんだよコッチは。と考えるより先に彼女の手をつねっていたから、私も随分川端さんの扱いに慣れてしまったものだ。
「……て、わけで、話が済んだならさっさとどっか行ってくんない」
「き、気に食わないのよアンタ! いっつも余裕ぶって人のこと見下して、何言われようが涼しい顔しやがって……!」
「好き勝手できてる私が羨ましいんだ? 女の嫉妬って醜いよ。ねぇ川端さん」
急に話を振ってやれば、
「……え!? きらり!?」
と慌てたのちに、ボス猿に睨まれるとすぐに黙った。
もっと面白いリアクションしろ 、はい失格ー。

