ここ最近、人に話しかけられて良かったことなんか全くないから。


渋々振り返れば、そこに立っていたのはボス猿で、計らずとも溜息が口からついて出てしまった。




それを見て彼女は、

「溜息ついてんじゃねーよ!」

と不満を露わにするから、じゃあ話しかけてくんなよって思ったけど、口に出さなかった私は随分大人。




「あーちん、誰?」


「クラスの嫌われ者」


「それはお前だろ藤島!」




川端さんが不思議そうに私を上目遣いで見てくるから、ボス猿に見せつけてやりたくなる。上目遣いなんて美少女がやってこそ需要があるのだと。



そしてそんな美少女はいじめられる運命にあることを、川端さんもいい加減気付けよ。そのぶりぶりした仕草やめればいいのに。


素でやってようがなんだろうが、反感を買ってると知らないのだろうか。




「……で、何の用?」




今度は何の文句があるって言うんだ。


竹林くんが呼んでいたって嘘をついたことを責められるのか、鞄をぶちまけてストラップを壊した私に腹を立てているのか。