懲りもせずに放課後になるとうちのクラスに押し掛ける彼女にうんざりしながら溜息を吐いた。


どうせすぐに翔くんに連れ戻されるんだから、いちいち来なくていいのに。むしろ来るな。




「ほら、さっさと帰れ」


「やだよお、あーちんと学校祭やりたいよお」


「知るかぶりっ子」


「違うもん、きらりはぶりっ子じゃないもん」


「名前からしてぶりっ子だろうが。改名しろ、伊右衛門とかに改名しろ」


「だれ!?」




伊右衛門はぶりっ子じゃないもん。


と、川端さんが言っているとこを想像して、鼻水噴き出して爆笑しそうになった。



川端伊右衛門。悪くない。江戸時代にでもタイムスリップして一生戻ってこなければもっと良い。ぶりっ子じゃな伊右衛門とかでもいいかもしれない。



なんて考えてクックと笑っていれば、きらり改め伊右衛門にぽかぽかと腕を叩かれた。


なんて生意気な伊右衛門だよこのヤロウ。




「――ねえ、藤島、ちょっと」




その川端さんの細い腕を避けながら反撃の機会を窺っていれば、不機嫌そうな声に呼びかけられて、眉を顰めた。