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次の日学校に行けば、私のイケメンすぎる行動に小さな小さな胸を打ったボス猿が、謝礼金として万札をこの手に握らせてくれた。



――とかいう展開になるはずはなく。なってほしかったけどなく。



朝から、「え、何あれコワイ眼光ヤバイ」と思うほどには鋭い視線を向けられたまま、特に何も言われることも、万札を手渡されることもなく、放課後になっていた。


その間、クラス会費を紛失したとかボス猿がクソ猿だとかいう悪口は聞かなかったから、私がぶちまけた彼女の鞄からそれを無事見つけることが出来たのだろう。



まあめでたしめでたしっていうことで。


私に害がなければそれでいい。利益があればもっといいけど、謙虚日本代表みたいな私は多くを望まないのですわオホホ。


ミス大和撫子としてどっかの石油王に見初められるのも夢じゃないかも。あーん玉の輿乗りたーい。なんつって。



ていうか見つけたのはクソ早川だから、どっちにしても私は威張れないのだけれど。でも威張るけど。




「あーちん」


「やだ」


「まだ何も言ってないよぉ」


「これからも何も言わなくていい」




――だけれど、川端さんを追い返すくらいの恩返しはしてくれてもいいと思う。それなら喜んで受け入れる。