「いいから行けっつーの! こんだけ探してないならもう見つかんないんだって、諦めろ!」


「な……っ!」


「それとも、お金がなくなったのも私のせいにする? すれば?」




鼻で笑ってわざと挑発すれば、簡単に乗っかったボス猿は顔を真っ赤にしてこっちを睨みつける。


扱いやすいったらない。




「す、するわけないじゃない! あんたじゃあるまいし、そこまで性格悪くない!」


「どうだか」


「島林のとこ行って戻ってきたら、絶対自力で見つけるわよ! もうあんたなんかに頼らない! 藤島はさっさと帰れ!」


「竹林くんだろ私につられてんじゃねーよ。言われなくても帰るっつーの。あんたこそさっさと行け」


「う、うるさい!」




うるさいのはお前だ。


溜息を吐けば、ボス猿は鼻息荒く教室を飛び出して行って、やっと静かになった。



教室の中を歩き、ジャラジャラとストラップがウザいくらいついている彼女のスクールバッグを見つけて、そっとその中に封筒を忍ばせる。



それから、教室の中央でその中身をぶちまけてやった。これですぐ気付くだろう。


その拍子にボス猿の筆箱についていたキーホルダーが壊れて外れたけど、正直ダサかったから結果オーライ。



……さて、家に帰ってボス猿に請求する物リストでも作っとくか、なんて考えながら、教室を出た。