……確かに、なんでボス猿があんな隅の棚の奥に大事な封筒を落としたのか謎ではあったけど。
早川が見つけたとか言うから……っ! 許してなんかやるもんか。
腹ばいになって埃まみれになったのも、無駄だったと言うのか。
「……藤島」
「……」
「藤島」
なんだよしつっこいなあ、と思って泣きたくなるのを堪え、振り返れば、頬にぴたりと何かが当てられる。
なに? と訝しげに眉を顰めていれば、早川はバツが悪そうに私から顔をそらした。
「……さっき机にぶつかったとき、なんか降ってきたんだけど」
「え?」
早川が差し出したのは、茶封筒だった。
急いで受け取って中を見れば、ボス猿の言っていた2万6000円、ぴったり入っている。

