偏食系男子のススメ【完】





偏食系男子なんて自称しているけれど、他の人からは、私みたいな浮いた女を好きだなんて、変食系男子って呼ばれているのに気付いていないのだろうか。


あとそれって私に失礼だと思うんだけど。人を珍味かなんかみたいに言いやがって。




「藤島」




眉を顰めていれば、私を呼ぶ早川の熱の籠った目がとろんとして、そらせなくなる。


妙に色気のある目。いやいやいやいや。やめてやめてやめて。そんな目で私を見るな……っ! なんか変な気分になる。背筋がぞくぞくする。




「……あの藤島、なんか俺やばいから、あの、蹴飛ばして?」


「……は?」


「いや、今すぐ目覚まさしてくんないと、藤島の嫌がることしちゃいそうで怖いから」


「しっ、死ね! キモイ!」


「ぐはっ」




秒速で立ち上がって、正座していた早川の背中を思い切り蹴った。埃が耳の穴に詰まって死ね!



勢いよく飛んだ早川は、ガタガタっと机に体をぶつけて、再び床に倒れ込んだ。


あーあ、椅子や机が乱れてぐちゃぐちゃになっている。片付けが面倒だ。