「……藤島、いっつも冷たいのに、困ってる奴は放っとけなくて、平気で埃の中手突っ込んだりしちゃうしさー」
「平気じゃないから、めちゃくちゃ葛藤したから」
「ずるくねぇ? そういうの。めちゃくちゃキュンときちゃうだろ……」
「キモイ死ね。女子かよウザい」
頭おかしいんじゃないの。私が善意でボス猿を助けたとでも思ってるんだろうか。そんなわけあるか。
「他人に無関心な藤島が好きだったけど、他人に一生懸命な藤島とか可愛すぎる……」
「いや、ボス猿放っておいたらお金なくしたの私のせいにされそうだったからだし」
「なんでもいいよ、あー、やばい」
「お金絡んだ揉め事ってろくなことがないから、面倒避けるために探しただけなんだけど!?」
「……めっちゃ好き、藤島」
……そんな、真剣な表情で言われても、私は応えられない。
あからさまな好意を感じて、狼狽えた。慣れてなくて。
……早川は、私のどこがそんなに良いんだろう。
私にはやたらと付きまとってくるくせに、他の女子には見て分かるほど一線引いている。
自分で言っていたけれど、本当に私以外の女子に興味なさそうだから頭おかしいんだと思う。

