「……ほ、ほら早く!」
「いやっ、……え、あの、いいの……?」
「死ね、早くしろ!」
怒鳴れば、顔を真っ赤に染めた早川がぎこちない動きで私の腕に触れてくる。
な、なんでそれくらいで赤くなるの。と少なからずこっちまで余計に動揺してしまう。
彼につられて、かーっと頬が熱くなった気がしたけど屈んだ状態でよかった、きっと早川にはわからない。
なんていう痒い展開が耐えられなくて唇を噛んでいたけれど、丁寧に袖を折って肩まで上げた早川は、
「俺今なら死んでもいい……」
なんてほざくから、すぐに火照りは収まり私の方が死にたくなった。キモい。
……もうこれは、ボス猿に新品のシャツでも買ってもらわなきゃ気が済みそうにない。そうに違いない。
「……で、どう、藤島届きそう?」
「……ん、……っあー、あとちょっと」
「……」
「……あっ」
瞬間、中指の先が何かに当たった。ザラっとした紙の感触。……封筒だ、やっと届いた。
それを即座に手前に引いて慎重に手繰り寄せ、引きずったまま腕を抜けば、埃と一緒に茶封筒が姿を現す。
……よ、よかった……っ!
ホッとして漏れた安堵のため息が、早川のそれと重なる。
なんか超すっきりした。達成感に満ち溢れている。
子供産むのってこんな感じなのかななんて見当違いなことを考えながら体を起こせば、何故か床に顔を伏せて土下座している早川がいてドン引いた。

