偏食系男子のススメ【完】





薄暗いそこを目を凝らして見れば、確かに何やら封筒らしきものがあるのが窺えた。




「え、藤島……?」


「なに? なんか文句ある?」




ええいもうどうにでもなれ。ボス猿に高級ボディーソープも買わせようそうしよう。



半ば自棄になって埃っぽいそこに手を突っ込んだら、早川が素っ頓狂な声で私を呼ぶ。あんたが届かないって言うから私がしょうがなくやってんの……!


もそっと埃が手にまとわりついて、鳥肌が立った。キモイ。キモすぎ。キモキモキモキモキモキモ!


……まさか虫なんかいないよね? や、だめ。考えたらだめ。虫なんかいない。集中しろ私。




「……っ、まじで気利かない早川。携帯の画面で照らすくらいしろ!」


「……あ、はい!」




慌ててスマホを取り出した早川が照らすおかげで、視界は良好。けど封筒があるのは思ったより奥の方のようで、二の腕にかかっている長めの制服も棚下に吸い込まれそうだ。


ボス猿の奴め。絶対、高級洗剤も買わせてやるそうしてやる。


肩まで捲り上げようにも、身を屈めた状態では自分じゃどうしようもできない。


さすがに白いシャツを埃まみれにして汚すのには抵抗がある。




「……早川、私の制服捲って」


「……え!?」


「……」


「あ、え、……いやいやいやいや……っ!?」




私だってこんなこと頼みたくない。


テンパる早川にこっちが恥ずかしくなってきた。