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「例えるなら、俺にとって藤島以外の女子って、全員ビニールハウスの中で美しく咲く薔薇なんだよ」


「……」


「対して藤島は、……荒れ地に狂い咲く腐ったバナナって感じ」


「は?」


「だから付き合って?」


「喧嘩売ってんの?」




本人は至って真剣なのである。


分かりやすく言い換えよう。彼はこれでも私を口説いているつもりなのである。



白けた視線を送る私に気付いているのかいないのか、早川は上手いこと言った、みたいなドヤ顔をしてるから、なんかイラッときて彼の足を踏んでやった。



17年間生きてきて、腐ったバナナに例えられたのは言うまでもなく初めてである。


まずバナナと女の子をイコールで繋ぐのは間違ってると思う。


あとバナナは荒れ地で狂い咲いたりしないし、まず花じゃない。


そもそも、“だから”って接続詞はおかしいのに、そのあとサラリと告白したのも意味が分からん。



衰えることを知らない早川の私に対する猛アタックせいで、頭が痛い今日この頃。


早々に帰宅しようと誰より早く校舎を出た私に、早川は飽きもせずつきまとう。どんだけ暇人なんだ。