メガネにでっぷり太った彼は気が弱そうで、扱いやすそうだし、委員の仕事押し付けても怒らなさそうだしで。


いいカモ……じゃ、なかった。いいパートナーになってくれそう。


ごめんね、私は私のためなら少しの犠牲もいとわないんだ。自己中だなんてそんなそんな、私のためにある言葉かと思うわー。



しんとした教室で、今度は島林くんに視線が集まり、彼はおどおどとキョドっている。




「……藤島」


「はい」


「……そいつは島林じゃない、竹林だ」


「……はい」




やばい名前間違えてた。ごめん島竹くん。間違った。竹林くん。



過剰なほど注目されたためか、私が大変失礼なことをしでかしたためか、竹林くんは涙目になっていてちょっと可哀そうだった。


まったくもう紛らわしい名前なんだから。めちゃくちゃ反省してますごめんね森林くん。間違った。竹林。




結局皆からの同情を思いのままにした竹林くんは、

「藤島とはやりたくない」

と必死に懇願して、それは受理されてしまった。




運の良い奴め。ていうか断り文句が私に失礼。



小さく舌打ちを鳴らしたけれど、そこからなんとなく空気が悪くなったホームルームでは、他に立候補者はおらず、男子の学校祭実行委員は早川で決まってしまった。


嬉しそうに笑うそいつがウザかったけれど、悔しそうなボス猿の怒った顔がゴリラみたいで面白かったから許すことにする。