「……で、藤島今日はなんでそんな不機嫌なの? 飲み会で嫌なことあった?」


「……」


「また無視?」




ソファに座っていた藤島の横に座って顔を覗き込めば、唇を噛んで俺を睨みつける。


拗ねた子供みたい。寄ってるせいかいつもより格段に幼く見えた。




「言ってみ?」




優しく諭すと、藤島は数秒迷うように瞳を揺らした後に、零すように声を漏らした。


それを聞き逃さないように全神経を耳に集中させる。




「……今日、バイトの一つ年上の男の人が、男はみんな浮気するもんだって言ってたんだけど」


「…………ん?」


「早川もしてるでしょ」


「…………ん!?」




やっと言った。と思ったら、突拍子も無い話で一瞬面食らった。



……つまり俺は浮気を疑われてると? いやまさか、するわけない。こんなに藤島に夢中なのに。


と思うけど、あ、藤島って俺のことちゃんと好きだったんだな、と実感して嬉しくなってしまう。



ビバ酒。


泣きそうにプルプル唇を震わせる藤島が可愛すぎてキュン死にそう。どうしてくれんだ。ビバ酒。


見ず知らずの男にそんな風に言われてるのは不快だけど。むしろそいつ藤島のこと狙ってんじゃないかと、逆に俺の方が不安になったけど、酒の力も借りて珍しく素直な彼女が見れたからよしとしようと思う。