酔っていてもしっかり鳩尾にパンチを落としてきた藤島はさすがとしか言いようがない。


これでも高校時代と比べると大分落ち着いた方なんだけどな。お互い大学3年にもなると、さすがにちょっとは大人になったと思う。


腹の痛みに耐えながら立ち上がり、キッチンで水を汲み藤島にコップを差し出せば、彼女はそれを一気に飲み干した。


……今日はバイト仲間との飲み会に強制参加させられると面倒くさがってた藤島なのに、こんなに酔うまで飲んだのか。


トロンとした瞳が色気全開の溺愛中の彼女を目の当たりにしてしまっては、変な男に絡まれたりしてないよな? と不安になるのもしょうがない。




「……藤島、今キスしたら怒る?」


「殺す」


「いやいやいや、この時間に家来といて!?」


「駄目いやムリ」


「きついネ亜希ちゃん」


「だから名前で呼ぶなっつってんだろ」




ギリギリと歯ぎしりする藤島に慌てて謝る金曜夜10時。


半端なく鋭い目つきでこちらを睨むこの人は、ちっとも思い通りになってくんない。そこが可愛いんだけど。


めちゃくちゃに拒絶されることは割といつもの日常通りなので気にしない。