「藤島ー」


「……」


「藤島さーん」


「……」


「……亜希?」


「なまえでよぶなあっつうの!」




俺の一人暮らし中のアパートに、珍しく連絡もなくいきなりやってきた可愛い可愛いうちの彼女は、相当酔っているらしい。呂律が若干回っていない。


それと同時にすこぶる機嫌が悪いが、その原因は不明。名前を呼んだだけで軽く肩を叩かれた。しかしこれはいつも通りの反応だったかもしんない。そこも良きかな。



とりあえず酔った藤島が可愛すぎて握った拳が震えた。


どうしてこの人はこんなに可愛いんだろうと壁を殴りたい衝動に駆られるが、前に一度やって薄い壁に亀裂を入れてしまった前科があるからやりません。あの時は修理代が恐ろしいことになった。



高校の時より伸びた髪は毛先が巻かれ、化粧を覚えた藤島はどんどん綺麗になってく。


酔ったせいで紅潮した頬がどうしようもなくエロいんですけどどうしましょう藤島さーん。




「……死ね早川」


「えっ、心読んだ!?」


「……は?」


「あ、違うか。酔ってるからってそんな物騒なこと言うなよー、いつもみたいに可愛く『泉くん大好き!』って言ってみ……いでっ」


「そんなこと言ったことないし! どさくさに紛れて人のキャラ変えんな!」