「あーヤバい。……藤島なんでそんな可愛いわけ?」




離れようとするけど、背中に回された早川の腕に抑え込まれて身動きが取れなかった。


密着した体は熱くて、心臓が死にそうになる。




「……抵抗しないね藤島」


「あのね……っ!」


「……藤島絶対俺のこと好きだよね?」


「好……きじゃな……っ!」




熱い。顔が熱い。心臓が五月蠅い。早川の胸板を押したままの両手をどこに持っていけばいいのかわからない。



じっと早川に抱きしめられたまま、妙に緊張して何も言えなくて固まっていた。



……きっと、私が本気で抵抗すれば、早川は即どいてくれるだろう。


そんなの分かってるのに、私がそうしないのは、できないのは、その理由は。



――とっくに、知ってたけど。分かってたけど。



――ああもう。悔しいな、悔しい。凄い悔しい。




「――い、……っ言っとくけど!」


「……なに藤島」


「……観覧車のアレを、本気で嫌だって思ってた私が99.8%だからな!?」


「……はいはい。……あは、俺はその本気で嫌だと思ってない0.2%の藤島がいたなら十分」




せめてもの反抗で言ったのに、早川はすごく嬉しそうな笑顔を向けてくるから、負けた気がして余計に悔しくなる。


……なんで笑うんだよ。ムカつく。