私が言えば、早川は酷くショックを受けたような顔をして、顔を真っ青にした。
「ご、ごめん藤島、怖がらせるつもりは全然なかったんだけど、そんなに嫌だったんだな、ごめんな」
「……え」
「そりゃそうだよね、狭い密室で自分より力の強い相手に手無理矢理握られたらさすがの藤島もビビるよな、……マジでごめん」
……いやいやいや、そんな本気で泣きそうな顔されると困るっつーの!
焦って慌てて立ち上がるけれど、早川との身長差は埋まらず、目線の位置は合わない。
どうしてそういう解釈をするんだよ。まあしょうがないけど。私の言い方が悪いわけ?
「――そうじゃなくって!」
思わず大きい声が出た。
覚悟を決めた女は強い。なんて。弱いままじゃ覚悟も決められないから苦労するんだろうが!
ぐっと唇を噛んで、訝しげに首を傾げた早川から顔を逸らす。
「……そうじゃなくて」
「……うん」
「……ほど、」
「え?」
大切なものは失ってから気付くとはよく言ったものだ。川端さんなんかに諭されてしまったのだから酷く癪。

