偏食系男子のススメ【完】





私はこんなだし、嫌いじゃない、なんて、わざわざ自分から教えてあげるわけがないじゃないか。


そんな優しい人間じゃないことは、早川だって知ってるんじゃないの。



そのつむじをじっと睨みつけていれば、徐に立ち上がった彼は、何も言わずにこの場を立ち去ろうとする。




「待……っ」




――だから、反射的にその手首を掴んで引きとめてしまった理由は分からない。


自分でも、どうしてそんな風に行動してしまったのか本当に謎。



――だったらよかったのに。


認めざるを得ない自分の感情に気付いてしまったから、体温が急上昇していって、死にたくなる。




「……藤島?」




ムカつく。


ムカつくムカつくムカつく。



気付いてほしくないことは勝手に見通すくせに、言いにくいことをどうして言わせようとする。


もしも確信犯だったりしたら、確実に息の根を止めてやりたい。




「……本当は」


「え」


「……あんたの本気の告白を断った理由は、び、……ビビったから」




不機嫌を装って絞り出した声を、早川は絶対に拾って聞いてくれる。