偏食系男子のススメ【完】





腕に埋められた彼の顔は、どんな表情を浮かべているのだろう。




「藤島ごめん」




次、言われる言葉は自然と分かってしまった。




「もう俺、藤島に近付かないよ」




予想通り。


思わず鼻で笑ってしまった私を、早川はわざとらしく見上げてきたりしない。


重暗い声はそれ以上何も言わなかった。




「……早川、そんなことできるの、本当に」


「いやだって、遊園地であんなに拒否させるほど嫌な思いさせといて、これ以上藤島に嫌われたら俺マジで死ねる」


「じゃあ死ねば」




きっと私はこんな風にしか言えないから、人に愛想を尽かされてしまうのだ。皆離れて行ってしまうのだ。


別にそれで構わないけど。そう望んでいたのは私なのに。



冷たい言葉を吐いたのは自分なのに、矛盾して心臓が痛くて、無意味に泣きそうになる。



――嫌な思い? そんなの。あんたが勝手に決めないでよ。


私の感情を、勝手にあんたなんかが推測して勝手に傷ついていないでよ。バカじゃないの。