大して悪いとも思っていなさそうな態度で一応頭を浅く下げた女の子は、その場に早川を置いてこっちに向かってくる。
あ、見つかったらまずい。
咄嗟に靴箱の陰に隠れるけれど、よっぽどムカついているのか、その子は脇目も振らずにさっさと行ってしまった。
よかった。気付かれてない。
「え」
とホッとして項垂れたのも束の間で、今度は下げた視線の先に、学校指定の上靴があって思考が停止する。
……一体誰の足。
「……藤島、いつからいたの」
そろそろ顔を上げた先にいたのは、遥か上から私を引きつった表情で見下ろす早川で、愛想笑いさえ浮かべることもできない。
……死にたい。
今すぐ早川殺して私も死にたい。
こんなの見つかるなんて、一生の恥じゃん。最悪じゃん。死にたいじゃん。
絶望したままぼーっとしていれば、私と同じくしゃがみこんだ早川と目線の高さが一致して、がっちり目が合ってしまった。くそ気まずい。

