「ごめん」
早川はなんて答えるだろうか、と考える間もなく即答されたそれに、ちょっと面食らう。
うわひっど。ちょっとは考えてあげればいいのに。せっかくあんたなんか好きになってくれた女の子に対してそれは可哀そうなんじゃないの?
って同情する義理もクソもない私が心配になるほどには突き放した言い方だった。いっそ迷いがなくて潔いのかもしれないけど。
……告白、断るんだ?
「……な、なんでですか!? 私じゃ駄目ですか!?」
「え? いや、なんでって……」
だけど一年生も負けじと食い下がり、涙目の女の子に迫られてはさすがの早川も狼狽えている様子。
覚悟を決めた女は強い。……面白い展開になってきたんじゃない?
なんとなく見応えのある光景であるような気がしてきた。
……いいや、なんか気になるし、減るもんじゃないし、大人しく見物させてもらおうじゃないの。バレなきゃオールオッケーじゃん?
その場にしゃがみこんで、いよいよ本格的に盗み聞く態勢に入った自分気持ち悪いなって自覚はあるけどしょうがない。
人っていうのは好奇心と食欲には勝れないものだと誰かが言ってた気するし。
「早川先輩が、藤島って人のこと好きだったのは知ってます。でもフラれたんですよね? それなら私でいいじゃないですか!」
え、私?
藤島って人。なんとなく悪意のある言い方。様をつけろよ様を。
突然上がった自分の名前に軽く驚き、ちょっとイラッとして思わず買ったばかりの缶を握り潰してしまいそうになった。あらぁ危ない危ない。

