……ちょっと確かめるだけ。別に早川の名前に釣られたわけではない。
自分に言い訳しつつその声の主を探してそっと下駄箱の陰から顔を出せば、一番奥で女子生徒と男子生徒の後ろ姿が見えた。
あ、やっぱり早川だ。
と、茶髪の後頭部だけで気付いて、思わず再び身を隠す。
……いやいや、なんで隠れるんだよ! 別に見つかって困ることもないじゃないの!
っていうか普通に教室に戻ろう。たまたま廊下を歩いてただけで、立ち止まる理由はなかったんだ。
人の告白を盗み見る趣味はないし。むしろ興味ないし。関係ないし。
薄く笑ってから、……そうか。そうだ。あれ、告白なのか、なんてひとりでに今更気付いてしまった。
そりゃそうだわ、昼休みにこんな人気のないとこに呼び出してすることなんかひとつだけ。ベタなことする奴もいるもんだ。寒いったらない。
考えると一瞬どきりとして、なんとなく動けなくなってしまった。
「は、早川先輩、あの、」
「なに?」
一年生の子か。
こっから見てもそこそこ可愛い部類に入る顔ではあると思う。もちろん私には遠く及ばないだろうけどね、ドンマイ。
「……好きです。付き合ってください」
今にも消え入りそうな声。
聞いた瞬間、心臓が無意味に飛び跳ねる感じがした。
やっぱり告白だった。

