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そして6時間目のホームルーム、新学期最初の一大イベント。




「よーし、じゃ、阿部から順に引いてけよー」




担任が言い終わらないうちから教室の前に出た阿部くんは、ティッシュの空箱で作られた雑なくじ箱から紙を引き抜いた。



悲鳴やら歓声やらが上がってどんどん盛り上がって行く五月蠅い教室の中で、隣の早川だけがこの世の終わりだとでも言わんばかりの顔をしている。




「何でこのタイミングで席替えだよ……」




私にとっては超ラッキーだけど。

絶望顔でぼやく早川は、くじを引く順番が回って来ても立ち上がろうとしない。



席替えに盛り上がる男子たちにすぐに無理やり引かせられてたけど。立場弱。




「……藤島、俺7番だった。一番前」


「……」


「藤島が1番か13番引けば隣だね?」


「絶対嫌」




一番前って最悪じゃないの。


ようやく、ようやく早川と離れられる。あはは。笑いが止まらんわ。