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「おはよう藤島」


「……」




夏休みが明けた。



その後、宣言通り早川からの遊びの誘いやラインや電話も全部無視していたのに(もっと言うと川端さんの誘いも全て無視した)、

新学期、偶然玄関で再会した早川は何事もなかったかのように挨拶してきたからちょっと緊張してしまう。



もちろん睨みつけるだけで無視したけれど、クラスが一緒のため特に気にする素振りもなくそいつはついてくる。




「……あの藤島サン」


「怒ってる」


「……ですよね。……いや、あの、ほんとあの日は調子乗ってすみませんでした」




律儀に立ち止まって頭を下げた早川を視界に入れるけれど、すぐに逸らして眉を顰める。




「藤島が可愛いあまり、思わずなんていうかこう、ぐわーって色々感情が押し寄せてきてしまって」


「……」


「一回手繋いだら、藤島が柔らかくて好きすぎて辛くて、ほんとは抱きしめたかったんだけどそこはなんとか、」


「そ、そんな詳しく言わなくていい!」




バカじゃないの。思い出したら物凄く恥ずかしくなってきた。マジでふざけるな。