……ていうかなんでこんなに一人で焦っているんだろう私は。振り回されたくないのに。


平気でいたいのに心臓が無駄に騒ぎ立てて、油断すれば足が震えそうになる。



――ほんと、最悪だ。























「お疲れさまでしたー」




景色を楽しむ余裕はなかった。


やっと地上について、息が詰まりそうだった狭い空間から私を解放してくれた係のお姉さんが天使に見えた。私並みの。



ようやく手は外され、先に出たのは早川だったから、続いて下りてその背中に思い切り照準を合わせる。




「……ふじし、」


「いいから、地べたに頭こすりつけて謝罪したい気持ちも分かるけど、そのまま振り向かないで」


「え」


「……今度私に触ったらマジで殺すから」


「……は、うわ、あでっ!?」




早川の背中を力いっぱい回し蹴って、その場に倒れ込んだそいつを見下ろして睨みつけた。


周りの客の目が痛いけれど、知ったことか。女にはやらねばならない時がある。あらなんかこの台詞かっこいいんじゃない。




「精一杯死ね!」




それから捨て台詞を吐き捨てて、早川を置き去りにして帰る。


昼間使わなかったフランクフルトのパックのケチャップを開けて投げつけることも忘れなかった。



――観覧車を下りた後も火照ったままだった頬を、憎く思いながら。