――なんとなくだけれど、美織の気持ちが分かる。少しだけど。分かりたくもなかったけど。
私が小学生の頃、家が荒れていたとき、どうにか両親を仲直りさせてやろうと必死だったこともあるから。
そのとき私は、家にいるのが嫌だったわけじゃない。親が嫌いだったわけじゃない。
美織は、大好きな母親のために気を遣って自分から抜けだしてきたんだ。
だから携帯で連絡もしたし、寂しそうだったけど焦っていた様子はなかった。
折角の遊園地で、本当は両親と遊びたかったはずを、我慢して、決意して。分かりにくいけどこれは美織の優しさだ。
まあ、私に迷惑かけるとはいい度胸だなとは思うけど。
バカじゃないのかって怒鳴ってやりたい衝動を抑えるのって容易いことじゃないけど。ほんとにいい迷惑ではあったけれども。
「……フジシマ」
「……なに?」
「……今日、ありがとう」
「いいよ別に。あんたの親からは貰うもん貰う予定だから」
「何それ。……でも、しょーがないから美織、ハヤカワのことはフジシマに譲ってあげるよ」
「……は?」
まったく今度は何なんだよ。また意味の分からないことを。

