「どうせ、忙しい親にいらん気遣って、二人きりにしてやろうとでも思ったんでしょ」
「……」
図星だったのか、驚いたように目を見開いて固まる美織を、そっと見下ろした。
――いくら小さいコドモでも、思うことはある。
バカみたいに生意気でムカつくクソガキだって、何も考えてないわけじゃない。
「偉いじゃん」
軽く笑ってやれば、途端にぐしゃっと顔を歪めた美織は半泣きになってうるうる瞳を揺らす。
それにぎくりとして、隣り合って座っていたところをちょっと距離をとった。
ベンチの端まで出来るだけ避難して、素知らぬふりで美織から顔をそらす。
だから泣かれるのは好きじゃないんだって! 勘弁して。これ以上面倒を見る気はない!
「……フジシマは、怒ってると思ってた」
「いやいやいや、何その言い方。私が実は怒ってないみたいじゃん。言っとくけどめちゃくちゃ怒ってるからな!」
こいつのせいで倍以上疲れたんだから。
眉を顰めて否定するけれど、それ以上美織は言及してこなかった。
それが余計に気分をモヤつかせるような気がしたけれど、敢えて私から話しかける必要もあるまい。

