やだなあ人を見て鬼でも見たかのようにビビった顔しなくても良いのに。変なのー。
「……あーっ! ……嘘でしょっ!? ホントに行っちゃったの!?」
一方で愕然として早川の走り去った方向を見つめる美織の腕を軽く引いて、再び私の横に座らせる。
「……フジシマのせいだ」
「いやお前のせいだからな」
こっちを恨みがましく睨みつけてくる彼女だけれど、お母さん攻撃がないところを見ると、本人もそろそろ親のとこに帰る気になっていたのかもしれない。
まったく素直じゃないんだから。
でもそういうのは可愛い子か美人がやるから需要があるのよ。私とか私とか私みたいなね。
「……美織はママたちがいなくても、……こーやって一人でだって遊べのに」
「実害を受けてる人間がいることも忘れないでね、主に私のことだけど。いい迷惑だった」
「フーン、デートの邪魔されたのがオモシロくなかったんだ、フジシマ」
「殴っていい?」
条件反射のように口を衝いて出た言葉だったけれど、低い声には殺気が籠っていたことが自分でも分かった。

