また得意の嘘で同情でも誘おうって魂胆なのだろうか。疑いつつもツッコミはせずに、二の句を待つ。
「美織が生まれてすぐ、出て行っちゃってね、でもね、ママがいるから美織はヘーキ」
「……じゃあ、今日は母親と二人で遊びに来たわけ?」
「違うよ。ママ、サイコンするから。ママと、ママのカレシと来た」
ふーん。と相槌を打って、太ももに頬杖をつく。
嘘にしては真剣で、声が曇っているから案外本当のことなのかもしれない。まあ私にはこれっぽっちも関係のないことだ。
しばらく重い沈黙が続いて、俯いていた美織の頭に早川の手が乗った。その大きな手が、柔らかそうな前髪をぐしゃぐしゃ撫ぜる。
「美織、親んとこ居辛かったんだな、で、逃げてきたんだな」
「……」
「いきなり再婚って、大変だよな、……辛かったらちゃんと母さんに言えよ、俺も美織の味方だからな!?」
「……なに、ハヤカワ、ウザい。セクハラじゃん、最低」
「セクハ……!?」
頭に乗ったままの早川の手を乱暴に払うと、美織はつんとした態度のまま立ち上がった。
まったく可愛くない態度。

