「さあフジシマ、次はなに乗る?」
嬉々としてキラキラした目をこっちに向ける彼女から顔を逸らして、早川に目配せすれば、彼はその場にしゃがみ込んで美織と目線を合わせた。
「美織、そろそろ親んとこ戻った方がいいんじゃねーの?」
「……」
「ほら、連絡してやるからケータイ貸してみ?」
優しい口調で美織に手を差し出す早川だけど、その手はすぐに振り払われる。
どこまでも生意気なクソガキである。よくも私と似てるなんて言えたもんだ。ふざけんな。
「やだよ、絶対戻らない」
「なんで?」
「……」
賑やかな園内で、私たちの前を横切っていった家族連れを、美織が言葉を詰まらせたまま目だけで追いかけたのが分かった。
……戻りたくない、ってわけではなさそうなのに。反抗期か?
面倒くさいな子どもって。
「……美織んち」
「うん?」
「……パパがいない」
「えっ」
不意に呟かれた声に、まずいことでも聞いたかのように表情を凍らせた早川を一瞥して、美織はフンッとバカにしたように笑う。

