「……だーかーらー、嘘なの、嘘」
「嘘? 何が?」
「美織が迷子だってこと! だから放送する必要もないってワケ」
「……」
「えええええええ!? 嘘!?」
未だにその子どもの言うことがよくわからずに首を傾げた私に代わって、早川はややオーバーとも思われるリアクションして、目を見開いた。
……嘘? 迷子だってことが嘘?
は、じゃあ何だって? ……何がなに?
――頭の奥で、ぷつんと、何か糸のようなものが切れた音がした。気がした。
「……埋める」
「……ふ、ふふふ藤島ストップ、いや待て待て待て待て」
けれど、焦ったような早川の声と、引かれた右腕に加わる力に気付いて我に返る。
あらいやだ。うっかり子ども相手に変な気を起してしまっていたらしい。限界だ。
無意識に握っていた拳はプルプル震えていて、行き場をなくした怒りを吐き出すために深呼吸。その後にゆっくりと腕を下ろした。

