何も考えていない早川を睨みつければ、確かにそうだな、と納得したように頷いて、苦笑する。
「コーヒーカップ乗りたいなら、母さんたち見つけてからにしよう、その後絶対一緒に乗ってやるから」
「……大丈夫だよ、ママは美織の心配なんかしてないから」
「迷子なんだろ? 心配しない親はいないって」
「いやだ、絶対今、美織はあれに乗りたいの!」
「えーっ? 母さんたちと乗る方が楽しいって」
美織を宥めるようにペラペラ喋る彼は、やっぱり子どもの扱いが上手いと思う。
もしかして下に弟か妹がいるのかな。前に一方的に家族構成を明かされたような気もするけれど思い出せない。
別に覚えておく必要もなかったし。今だってそこまで知りたいわけではない。
なんて関係ないことをぼんやり考えながら早川の説得を聞いていたけれど、美織は尚も表情を歪めるだけで、一向にその提案を聞き入れようとしなかった。
ええい面倒くさい。
「分かった」
「……え?」
「コーヒーカップ乗ろう」
どんなに大人ぶったフリしてたって、根は我が儘な子どもだ。
駄々をこね始めたクソガキっていうのは意地になって自分の意見をつき通そうとする、非常に面倒な生き物。

