「あれ、乗りたい!」
「親が見つかったら一緒に乗れ」
何を言い出すかと思えば今更何を言う。呑気に遊んでる場合じゃないだろうに。
溜息を吐けば、ぐっと言葉を詰まらせた少女は泣きたいのを堪えたような顔でこっちを見てくる。
それにちょっとぎくりとして、微かに眉を顰めた。
なんで今そんな顔するわけ! さっきまであんなに平気そうに気楽な迷子やってたのはどこのどいつだよ!
もうすぐ迷子センター着くって言ってんだから泣くなよマジで。泣かれたら困る、ていうか面倒だ。頼むから絶対泣くな。
「まあまあ藤島、一回くらい一緒に乗ってやってもいいんじゃねーの?」
「はあ? あんたまで何言ってんの!」
「こうして出会えたのも何かの縁っつーか!」
「アホか、無責任なこと言うな。心配してる親の気持ちを考えろ。ていうか私が乗りたくないだけだけど」
今頃このふてぶてしい迷子を捜してあちこち走りまわっているかもしれないというのに。
そんなときにコーヒーカップ乗ってる姿でも目撃されてみろ。責められるのは私たちの方だ。余計な迷惑はこれ以上被りたくないっつーの!

