「……だとしたら何? 別に一人じゃないけど」
「誤魔化さなくていいよ、さっきからずっと一人で羨ましそうにカップルや家族連れのこと見てたでしょっ?」
「はあ?」
口の端を上げて、人を小馬鹿にしたような態度。なんて生意気な……!
別に羨ましそうに眺めていたつもりはないし。
ムカッと来たけど、子ども相手に怒るのもアホらしい。最近の小学生ってこんなにも可愛くない生き物なのか。
別に子どもは嫌いでも好きでもなかったけれど、この子は苦手。ウザいから。
「……はいはい、もうそういうことでいいよ。分かったらさっさとどっか行けくそガキ」
しっしと手を振りながら追っ払おうとするのに、図々しくも私の隣に腰を下ろしたその子は、ふーっと溜息を吐いた。
なんで行かないのよ。
ていうか親はどうした。小さい子を放っとくな! 人様に迷惑をかけるな!
……まあいいか。相手は無知な子ども。仏のような寛大な心で私が移動すれば済むことだ。
折角の木陰だったけど、そろそろフランクフルトも来るだろうから。
思って立ち上がれば、ぐいっと強い力で手首を引かれる。

